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オンラインで審査!新たな融資サービスを提供するKabbage




今回もFinTech関連です。2015年から急速に注目が集まり続ける分野です。このブログを読み続けて頂いている方は「もう聞き飽きた!」って感じですか?しかし目を離す訳にはいきませんよ。今回はアメリカのスタートアップに少し目を向けたいと思います。

融資審査をオンラインで完結するKabbage


Kabbageは米アトランタを拠点とするスタートアップです。中小企業(主にEC事業者)に無担保で融資をするというサービスを行っています。他にも消費者向けにKarrotというサービスも開始しています。「それ、銀行やん。」Kabbageのすごい所は審査をオンラインで行えることです。最短で6分で審査が完了するそうです。銀行の比にならないスピードですね。現在はアメリカ やイギリスなどで利用できます。


KabbageのHPより

どんな審査になってるの?


申し込みがあると、審査に必要なデータをネット上から集めてしまいます。主な情報としては銀行の口座、クレジット決済サービス、クラウド会計サービス、SNS、ECサービスの情報です。(「クラウド会計サービスって?」と思った方は以前の記事「フィンテックって何?」を読んでみてください。)

これらの情報をどのように利用しているのでしょうか。銀行口座、クレジット決済サービスの情報を利用すると、実際のお金の動きが見えてきますね。どのくらい仕入れて、どのくらい売れているのかなど。ECサイトの情報では、どのくらいECサイトに集客できているのか、とかレビューなどから顧客からの信用などが分かります。クラウド会計サービスでは財務を確認できます。SNSのやり取りなどから顧客と良い関係ができているかなどを判断しています。これらをアルゴリズムで判断して審査をしているのです。

Kabbageが注目される理由


これまでの説明でもわかって頂けると思いますが、オンライン上で完結して審査スピードが早いことですね。銀行だと書類のやり取りなんかで何度も足を運んだりして時間がかかります。他にも注目される理由をあげるとすれば、無担保というところです。銀行でも申込人が希望すれば無担保を検討してくれますが、どうしても回収率を上げるために有担保(土地や建物、時には商品などを担保にする)になりがちです。

Kabbageは主にEC事業者が利用しているようですが、中小のEC事業者というのは銀行の審査では少し難しい部分があります。これら事業は賃貸の自宅などでも始められるので、不動産など担保にできるものや、融資額に見合った担保になる資産がない場合が多いです。(最悪の場合は返済が困難になった時に逃げられる可能性も高い…)また資本金も少ないことが多いので自己資本比率が低くなりがちなことも銀行の融資が難しくなる要因になるかもしれません。

Kabbageは財務面だけでなく、ECサイトやSNSからの情報で銀行とは違う視点でも信頼性をチェックしているので、担保なしで融資しやすくなるのですね。

Kabbageの問題点


ものすごく便利なサービスであるKabbage。しかしお金の貸し借りの時に忘れてはいけないのが金利です。様々な情報から得た信用力や返済期間にもよりますが、平均的な金利としては30%半ばとのこと!これはKabbageが顧客に想定しているのは短期(だいたい1年以内)の運転資金が必要な事業者。確かに短期だと金利は高くなりがちです。

それにしても高い…。ただこれから融資実績が増えて、データが蓄積されていくと金利が下がる可能性があります。(ちなみに2015年の融資は15万件以上)また同様のサービスを提供する競合も増えてくると考えられるので、金利は下げていかないといけない状況になるでしょうね。



今回はFinTechのスタートアップでも注目のKabbageを紹介しました。このようなサービスは資金が欲しい人が早く資金を確保することができます。また、これまでとは違った観点で信頼性を判断しているので、今まで資金を確保しにくかった人が確保しやすくなります。Kabbageのようなサービスは銀行や、クラウド会計サービスを提供している会社も参入できるでしょう。資金を確保する手段が増えれば、事業者や消費者にとってはありがたいですね。


もう少し暇つぶし…


2015年まではスタートアップには、恵まれた環境でした。多くの資金がスタートアップに流れこんでいたからです。しかし2016年からは、こうした企業には厳しい環境になることが予測されています。Kabbageは機関投資家などから調達した資金を融資しています。今後、競争が激しくなった時にKabbage自身が上手く資金を調達できるか、という問題もありそうですね。

あと記事の画像はKabbageはCabbageをもじっているからです。
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