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メガバンクも本気で取り組むフィンテック


昨日はクリスマスでしたね。みなさん楽しい1日は送れたでしょうか。いよいよ2015年も終わりが近づいてきました。今回は今年何度か書いてきたフィンテック(金融とITの融合)に関することです。

ロイターが興味深いインタビューをしていました。

フィンテック、数年が勝負 IT企業に出資も=SMFG社長(REUTERSの記事

三井住友フィナンシャルグループの宮田孝一社長にフィンテックに関するインタビューをしています。メガバンクの1つである三井住友銀行など総合的な金融サービスを提供している三井住友FGの社長が考える金融業界の今後を少し見ていきましょう。

金融に最後に残るビジネスは…


フェース・ツー・フェースのビジネスと利便性の高いプラットフォームビジネス


”「金融に最後に残るビジネスは、ものすごくベーシックな機能だけになりかねない。例えば預金を安全に預かることだ。後は法人にしろ個人にしろ、フェース・ツー・フェースで高度なソリューションやコンサルティングを行うビジネス分野は残るだろう。逆にそれが残せない金融機関は劣後していく。」”REUTERSインタビューより

例に銀行を思い浮かべてください。銀行の仕事って、どんなものがあるでしょう。顧客からお金を預かること。個人や企業などに融資すること。主なものは、この2つになると思います。

利便性の高いプラットフォームビジネス


預金を安全に預かるとは、どういうことでしょう。今年はギリシャショックがありましたね。この時は銀行からなかなかお金を引き出せないという事態が起こりました。これはギリシャの財政破綻によってギリシャ国内の金融システムに不安が高まったので、資金流出や銀行破綻を防ぐために営業を停止したから起きました。銀行からお金がおろせないって大変ですよね。どんな経済状況になっても、耐えることができる、またはそう思われる健全な財務状況にしなければなりません。(ギリシャに関しては政府が銀行の営業を停止させたという所がありますが…)

またはシステム面の強化もあるでしょう。2015年1月に、みずほ銀行で法人向けのインターネットバンキングでシステム障害が起きました。年始から、お金が上手く動かせないと焦った企業もあったかもしれません。より手軽に早く、セキュリティを担保されて支払いや送金、預金などができるようにもなっていく必要があると思います。日本の金融機関は、この部分でも遅れているかもしれません。

フェース・ツー・フェースのビジネス


融資をした後、それを銀行は回収しなければなりません。これは貸したので当然ですよね。そして必要であるならば、また融資していきます。しかし貸しっぱなしになっていないか、ということです。次も気持ちよく融資できるように、個人や企業にアドバイス(コンサルティング)ができているか。ここに関しては正直かなり弱い部分だと思います。法人融資ならば大手企業や成長著しい会社などには、大きな額の融資を行うこともあるので積極的にアドバイスしたり、ビジネスマッチングを行っているでしょう。しかし中小企業や大きな資産を持たない個人などは、貸しっぱなしになっている部分は多いのではないでしょうか。

メガバンクや大手保険会社などがIBMのワトソンなどの人工知能を取り入れています。全てではないにしても今後は人工知能が与信判断を行っていくことも考えられます。そうなった時に金融機関で差がつくのは融資した後にコンサルティングが上手くできるかどうかになってくると思います。これは金融機関だけでなく、どんな金融パーソンが残っていくか、という話にもつながってきそうです。

異業種のアイデアを取り入れていく


”「日本では銀行法により、できる範囲が絞られていたので、IT的なビジネス乗り出すことが難しかった。これを言い訳にしていた面もある。」 
「自前でやるのには限界がある。提携でも出資でも、子会社にしてもいい。それはバリュエーションの1つだと思う。」”REUTERSインタビューより

日本の金融機関のフィンテック導入の遅れを認め、本気で加速させていきたい。と考えているのがよく分かります。しかし、まだ難しい部分もあるようです。

”「世界の規制強化の流れは止まっていない。資本を大きく使うような買収は、規制の影響を見極めるまでは残念ながらトライしにくい。」”REUTERSインタビューより

2015年11月に金融安定理事会(FSB)が世界の大手銀行に対して新しい資本要件を発表しています。リーマンショックの時は各国が銀行の破綻を防ぐため多額の支援を行いました。大手銀行は規模が大きいので、見放して破綻した時に受ける影響も大きくなります。「大きすぎて潰せない(Too big,to fail)」ってやつです。この新しい資本要件はリーマンショック時みたいなことを繰り返さないため、支援しなくても潰れないように資本を強化してね、ってことです。(TLACとかレバレッジレシオとか要件が細かくあるんですが、読んでもつまらないと思うので書きません。)

この資本強化に関しては、最初の預金を安全に預かるって話にも通じるところがあります。預金を安全に預かるために資本を強化しないといけない。さらに世界的に資本強化をしてく要件なんかもあるので、大きな買収はできない。フィンテックを進めるには買収という選択肢は取りづらい。ということですね。





今回は三井住友FG宮田社長へのロイターのインタビューから、大手金融機関のフィンテックへの姿勢を見たり、考えてみました。年末ということもあり、今年の経済、金融に関する出来事も少し無理にねじ込んでみました。

フィンテックは、より利便性の高い金融の世界を作りだしていきます。以前このブログでもいくつかのサービスを紹介させてもらいました。(フィンテックって何?)電子マネーの登場により、買い物の時などの支払いがスムーズになり、現金も持ち歩かなくてもよくなりました。会計分野の進歩により、個人や組織の資産状況などを簡単に処理できるようになりました。これからは投資分野でも、フィンテックがどんどん発展していくでしょう。日本の大手金融機関がフィンテックをどれだけ押し進めることができるのか非常に楽しみですし、期待しています。

もう少し暇つぶし…

もう1つ、2015年の金融業界で私が気になった動きは地銀の再編です。特に印象が強かったのは横浜銀行と東日本銀行の経営統合ですね。これも資本強化の意味合いがあるかもしれません。与信判断や営業、オペレーションのノウハウを合わせたいという意味もあるでしょう。来年は、少し遅いですが地銀再編の意図や、逆に再編の流れに乗っていない地銀の意図など調べてみようと思います。
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