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シャープ再建の財務手法

 




今回の話は、総合家電メーカーのシャープ株式会社についてです。シャープは本社を大阪府に置いています。家電全般を扱っていますが、特に液晶画面に技術を持った企業です。三重県にある亀山工場なんかは有名ですよね。

シャープは現在、経営状況が非常に厳しいです。2015年3月期の連結決算の最終利益が2223億円の赤字を計上しています。(2014年は115億円の黒字)
シャープは今後、みずほ銀行、三菱東京UFJ銀行などから支援を受けつつ、再建を目指します。
発表されている再建策がこちら。

①資本金を1200億円から5億円に減資。

②みずほ銀行、三菱UFJ銀行がそれぞれ1000億円、またジャパン・インダストリアル・ソリューションズ(JIS)が250億円を優先株を引き受け資本増強。

③3500人程度の人員削減、本社不動産の売却。

主に掲げられているのは、この3つです。③については今回は省き、①と②の財務、金融からの手法について書きたいと思います。しかし、この財務、金融面の説明は専門用語が多くなり、文章も長くなりそうで少し面倒なのでザックリ、簡単にします。

 ①資本金を1200億円から5億円に減資。

シャープとしては当初、1億円まで減資することで税法上、中小企業となり税負担を軽くする考えがあったのですが、宮沢経済産業相や取引銀行、既存株主からの反対があり5億円に設定しました。
では減資で、どのような効果があるか。

 ・累積損失を一掃でき、表面上の財務が良くなる。
 ・配当される可能性が高まり、資本提携が進めやすかったり、投資家からの受けが良くなる。

まず資本金が減ったら、減った分はどこに行くの? これは利益剰余金に振り替えされます。利益剰余金に振り替えられると、累積損失を消すことができるので貸借対照表(B/S)上の財務は良くなります。
利益剰余金とか、累積損失って何だよ?って思う人もいるでしょうが、かなり端折ると、
過去の利益や赤字を合計しているものだと考えて下さい。
そして資本金は「配当ができない」ものです。これが利益剰余金に振り替えされると「配当される可能性」が生まれるので、資本提携などがうまく行きやすいのです。


 ②みずほ銀行、三菱UFJ銀行がそれぞれ1000億円、またジャパン・インダストリアル・ソリューションズ(JIS)が250億円を優先株を引き受け資本増強。



まず優先株とは、議決権を持たない株のことです。市場に出回っている、私たちでも購入できる株には議決権があります。優先株は議決権がない代わりに配当などを普通株より優先して受け取ることができます。議決権がないということは、これまで以上には経営に口出しはされないことになります。(この状況では最早口出しはされるでしょうが、それでも今後の資金調達を考えると資本増強に意味がある。ちなみにJISという会社は再生投資ファンドです。)

実は、この2銀行は新たに1000億円ずつ、出資するのではありません。DES(Debt Equity Swap)という手法が使われます。これもザックリ言うと、負債を資本へ転換するのです。もっと雑に言うと、銀行からの借金を資本に組み込んでしまうのです。
実際はお金の動きがある訳ではないのです。これもB/S上、見た目が良くなります。また自己資本比率が高まるので、今後また融資等の資金調達をしやすくなります。




とまぁ、今回は難しくなりました。書き始めてしまったので、最後まで書きました。もっと簡単にしたかったのですが…
こういうお金の動きを把握することは重要です。それは経営側や管理職ではないサラリーマンも同じです。全体を把握すると自分がなすべき動きが見えてくると思います。
家計でも同じだと思います。自分の預金残高を正確に把握してますか?来月の支払いはいくらでしょう?入ってくるお金は?では今後、生活が良くなるために何に、いくら投資(購入)すれば良いでしょうか。
世の中のニュースを一旦自分に落とし込んでみると興味がぐっと湧きそうですね。

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