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企業はお金を貯めこみすぎている? 〜内部留保とは〜



こんにちは。皆さん「企業の内部留保」って言葉聞いたことあるませんか?よく”内部留保を貯めこんでいるから、経済の循環が悪くなっている”というようなことをマスコミや政治家やワイドショーのコメンテイターなどが言っているのを聞いたことがあるんではないでしょうか。

最近、安倍政権がこの内部留保を吐き出すように企業に強く言っているような印象があります。(J-CASTニュース記事

そもそも「内部留保」って何を指しているのでしょうか。いつも通りサクッとサラッと見ていきます。

内部留保とは?

内部留保という言葉をよく聞くことはあるかもしれませんが、具体的に何を指しているものか知っている人は案外少ないのではないでしょうか。

内部留保は利益剰余金

以前、このブログで決算書のB/S(貸借対照表)について、ものすごくザックリした説明をしました。(決算書をザックリ見る。 〜貸借対照表のつくり〜貸借対照表の見方)その記事を見て頂いた方は、「利益剰余金」という言葉に聞き覚えがあるかもしれません。内部留保というのは、ザックリ言うと「利益剰余金」のことです。

利益剰余金とは?

では利益剰余金について知っていきましょう。

会社は事業を行い、売上をあげます。そして売上として手にした現金で経費などを支払っていきます。経費を支払った後に残ったものが利益です。決算書のP/L(損益計算書)では当期純利益となっているものです。この当期純利益はB/Sの利益剰余金に計上されます。利益剰余金はB/Sの純資産の部にあるやつですね。

つまり当期純利益が積み上がったものが利益剰余金ということです。利益剰余金は利益準備金と、その他利益剰余金から構成されます。(まぁ長くなってしまうので、それらについては今回は端折ります。)

ここは読み飛ばしてもいいんですが、正確に言うと当期純利益が全て利益剰余金として計上される訳ではありません。株主に配当を支払うため、当期純利益から配当の分を差し引いて計上されます。(いくら支払ったかなどは株主資本等変動計算書に記載されます。こちらも端折ります。)

とりあえず「利益剰余金は毎年の当期純利益が積み上がったもの」とザックリ捉えて下さい。

「内部留保を吐き出せ」とはどういう事?

ここまで内部留保とは何か、という説明をしてきました。では「内部留保(利益剰余金)を吐き出せ」とは、企業に対してどうして欲しいのでしょうか。

利益剰余金はどう使われるのか

まず利益剰余金は、事業の中でどう使われるのか知っていきます。

上の図を見てもらえば、ある程度わかるかと思います。利益剰余金を使って今後の事業成長のため設備投資などをしていきます。他にも、もしもに備えて現金として保有することも考えられます。ただこの説明は事業の実態を正確に表しているとは言えません。

決算書をザックリ見る。の記事から、ひとつ思い出してほしい事があります。それが資産合計=負債・純資産合計です。つまり利益剰余金を含む純資産や借入などの負債を運用した結果が借方(資産)ということです。

結局、利益剰余金はどう使わているの?って話ですが、利益剰余金は借方(資産)の全てに使われている可能性があります。

「設備投資をもっとしろ」

では「内部留保を吐き出せ」とはどういう行動を起こしてほしいのか。これは「設備投資をもっとしろ」ということです。アベノミクス等の影響もあり、特に上場企業は多くの企業で好決算を出しています。「多くの利益がでていて、内部留保も増えている。だから、もっと投資に回せるだろう。」というのが政府の言い分です。

ですが、ここまで読んで下さった方は何となく政府の言い分が変なことに気付いたのではないでしょうか。

内部留保は現金そのものではない

政府の言い分が一概には言えないんじゃないかなぁ、と思って頂いた方は鋭いです。

内部留保(利益剰余金)は、今までの企業努力の積み重ねです。利益剰余金の数字が多くなっているからと言って、すぐに使える現金が多くなっているという訳ではないのです。今まで積み重ねた内部留保は、既に設備などの資産に回っているからです。

事業をしていれば、事業を維持するための雇用者の賃金や商品や材料の確保など諸々にお金がかかります。直近の決算が良いからと言って、それをすぐに投資に回せ、というのは無茶な要望である可能性がある、ということです。


今回は内部留保の説明と、本当に企業がやたらに現金を貯めこんでいるのか少し考えてみました。まぁザックリしすぎているので、もう少し具体的な数字も見ていこうかな。とも思っています。ですが面倒くさがって書かない可能性もあります。期待せず待っていてください。
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